永らく火葬場の残骨灰は日陰の存在であり、各自治体は適正処理基準を持たず、残骨灰処理業者の任意の処理方法に委ねられてきました。そのような中、国は平成12年3月31日付「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」、平成22年7月29日付「火葬場における有害化学物質の排出実態調査及び抑制対策に関する報告書」で残骨灰の取扱い方法について、
①墓地埋葬等に関する法律の趣旨に鑑み適正に取扱うこと。
②集塵灰は残骨灰と分別し適正に処理すること。
③有害化学物質の排出抑制に努めること。
④火葬場から排出される灰については、宗教的感情の対象として扱われる限りにおいては、廃棄物処理法に該当しないが、宗教的感情の対象として扱われていない場合は廃棄物として該当する。
と見解を示しており、厚生労働省の2通の通達が、残骨灰処理業者の最低限の適正処理基準となっています。そして、多くの自治体が残骨灰を宗教的感情の対象としており墓地埋葬等に関する法律の趣旨に鑑みた適正な処理を残骨灰処理業者に要求しています。
自治体自ら処理から埋葬・供養することが理想的であると思いますが、実態的には残骨灰処理業者に委託している自治体が殆どです。そして、残念ながら、自治体の残骨灰処理業務に対する業者選考方法についても標準化が図られていないのが現状です。
墓地埋葬等に関する法律の趣旨に鑑みた適正な処理を行うには、残骨を埋葬する埋葬庫が十分確保され墓地の許可を取得しているかが重要です。しかし、一時的と称して墓地の許可を取得せずに投棄されているケースがあります。このような問題がある中、自然サイクル保全事業協働組合は他社に先駆けて墓地埋葬等に関する法律の趣旨に鑑み、残骨を丁重に埋葬・供養する事を提案し、処理から埋葬、供養の処理基準を確立いたしました。今では、全国の自治体に受け入れられ、お寺への埋葬・供養が標準化しております。また、残骨灰に有害化学物質が含まれている可能性から業者の判断で産業廃棄物扱いし、結果的に遺族感情が無視されているケースもあります。さらに、有価金属の回収が第一目的になり適正な処理がおざなりとなっているケースもあります。これらは、管理主体の自治体が残骨灰処理業者の実態を直接把握する必要性と、業者選考する上での明確な選考基準を持つ必要性を示しております。
私達、自然サイクル保全事業協同組合は、厚生労働省の2通の通達から各自治体による残骨灰処理の業者選考方法についてご提案いたします。
①墓地埋葬等に関する法律の趣旨に鑑み、残骨灰を産業廃棄物としてではなく、礼節を持って丁重に取扱うこと。
②埋葬地は墓地の許可を取得しており、永年に渡り埋葬、供養出来ること。
③有害化学物質が含まれる可能性がある事から、有害化学物質検査報告書の提出を行い、環境に配慮した埋葬を行うこと。
④処理工程の透明性を重要視し、各工程写真の報告を行うこと。
自然サイクル保全事業協同組合は、前身の倶會一需会以来一貫して「墓地埋葬等に関する法律」、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の趣旨を基本理念に取組みを続けております。
その姿勢は遺族の思いに少しでも寄り添う事を念頭に、残骨の最終埋葬に対する各組合員の高い意識と残骨灰処理に関し行政の代理業者としての自覚及び「残骨灰処理専門業者」としての自負によって受継がれ、支えられているものです。
今後も、残骨灰の適正処理に向け日々研鑽し、残骨灰処理業務の発展に尽くしてまいります。